【実践DIY】弁柄(べんがら)と柿渋で古民家の木部の外壁と柱を塗装してセルフリノベーションをしてみました!

弁柄(べんがら)と柿渋で自宅をセルフリノベーション!

弁柄(べんがら)とは、酸化第二鉄のことで、化学式はFe2O3です。科学的な正式名称は酸化鉄(III)、さんかてつさんと言います。この弁柄は古くから中国、朝鮮半島、日本の建築の塗装に使われてきました。神社の赤い鳥居は朱色ですが、朱は有毒かつ高級品なので大量に面を塗るときには弁柄が使われています。弁柄はいわゆる鉄錆のことなんですよ!この弁柄は正確には顔料であり、塗料(ニスなどすぐに塗れるような完成品)ではありません。顔料は柿渋などの展着剤と混ぜて使うことで物質に色を定着させて使います。私は顔料については人より詳しいので説明もバッチリですw

材料

今回のリノベーションに用いた弁柄はシマモト弁柄(猩々赤)という種類でホームセンターに売ってる乳白色のポリボトルに入った物です。柿渋は京都の冨山商店の柿渋1.8L入りのものでこちらも自治体で一番の大型ホームセンターに売られていました。通販では直接冨山商店(所在地はほとんど奈良県で月ヶ瀬の西)から買われたほうが普通の値段で手に入りやすいと思います。迷ったのが絵具会社の無臭柿渋です。あれはおそらく溶剤か何か特殊な工程を経ているものと思われるので食用にはできませんし耐久性も未知だったので今回は使いませんでした。
このシマモトの弁柄を今回私も使いました。色のバリエーションは猩々赤と東洋赤の二種類があって、はっきりいって色の違いはわかありません。シマモトからは他にも柿渋と混ぜて使える顔料が売られていて、たぶんですけど、日光東照宮の宝相華ような外側の派手な塗装も本物の緑青のような高級品じゃなくてこの手の安価な塗料(例:顔力白や顔力緑)が使われているのではないかと思います。
柿渋はどこのメーカーのものでも大丈夫だと思います。乾かすときに匂いが出ますので、ご近所さまの評判を気になさる場合は無臭柿渋をおすすめします。普通の柿渋は割と長期間、果物のような匂いが芳香します。柿渋が嫌なら浸透性木部塗料も使えると思いますよ。その際には黒のベンガラを混ぜて調色したほうがよいでしょう。あとは、木材用の防虫防腐剤を混ぜておくと尚良いのではないかと思います。

使い方

私のやり方は案外適当なので参考になるかどうかわかりませんが、まずはペットボトルや醤油ボトルのような振り混ぜることのできる容器に弁柄を少量(50ccくらい)入れます。そして1Lくらい柿渋を注いでぐちゃぐちゃに振り混ぜます。さらに市販の墨汁を混ぜて色味を調整します。墨汁は少量ずつ入れて様子を見ながら調節してください。私は割とブチューっと入れましたので、落ち着いた色合いになりました。鮮やかなのがいい場合は墨汁や松煙は少なめか無いほうがいいですよ!

真剣な人のためにもっと正しい使い方をお教えしますと、まずは底が平らなトレイに弁柄(や顔力などの)顔料を50mlくらい出しておきます(この分量で6平方メートルくらいいけます)。そして少量の柿渋を混ぜて団子を練るように使い捨てのゴム手袋をした指かパテのような道具で粒子を潰すようにして練ります。この練るという作業は細かい物を塗るときに重要になってきます。練りが甘いと大きな粒子の塊(いわゆるダマ)が壁に残ることがあります。外壁の木部を塗る程度なら刷毛で塗ってるうちに粒子が押しつぶされますのでここまで真剣に練らなくてもいいです。

墨汁を垂らして色合いを調節します。

もしも松煙を使う時は、やはり少しずつ匙(さじ)ですくって入れて、粉が立ち昇らないようにしながら静かに弁柄に練り混ぜます。

少しずつ柿渋を足していきます。

ある程度の粘りのあるペーストができたら塗料は完成です。

塗り方

出来上がった弁柄の塗料の塗り方は簡単です。柿渋で薄めて溶いて使います。市販のDIY用の刷毛と、水彩用の太めの絵筆のような平刷毛があれば事足ります。

まず弁柄は必ずこぼれるので、下の床に新聞紙を敷いてガムテープなどで固定しておきます。作業につかれてきたり、注意を払わなくなったら絶対こぼれるので!

あとは作業服です。絶対服に着くし、ボロを着てやってください!手袋も、壁をこする人は塵肺予防に防塵マスクや眼鏡も必須です。顔の部分もできれば目出し帽なんかがあれば理想ですが、私は眼鏡だけで塗ったので顔にいっぱい塵がついて痒くなりました。

弁柄の塗り方は木の木目に沿って一方向に塗ります。柱であれば上下に刷毛(はけ)を往復させます。横向きに張られた木なら左右に刷毛を動かします。

端っこの地面などの境界線はマスキングテープをしておくか、薄いベニヤ板か下敷きのようなもので地面を隠しながら塗るといいですよ。

弁柄が乾いた後には柿渋のみを一、二度塗って剥がれを予防しておきます。油や蜜蝋であれば拭くようにして塗り込みます。油彩用の乾性油でも同じことだと思いますが、リンシードオイルは塗った後も塗膜が厚いと結構ベタベタしますので塗りすぎないほうがいいでしょう。何かしら塗膜を作っておかないと雨で赤い塗料が流れたり服がこすれた時に着物が汚れてしまいます。

面倒な人ははじめから西山産業の「べんがらくん」のような既製品を使うという手もあります。

古民家の外壁を塗ってみた!

弁柄を古民家の外壁に塗ってセルフリノベーション(DIY)

写真の上部が弁柄を塗る前の状態の古民家(私の家)の木部です。ここにはプロの手によりウレタン塗装が施されていました。赤茶色のところは私が弁柄を塗ったところです。ウレタン樹脂の塗料は経年劣化で紫外線と雨が激しく当たる部分はボロボロに剥がれて粉末状になっていました。塗料が劣化した部分は木目のところが痩せてきてました。亀の子タワシで木部をこするとウレタンの塗料が剥がれて木が現れました。こんな事なら防塵マスクをつけておくべきでしたね。今回は普通のマスクしかつけてませんでした。弁柄を塗った直後は鮮やかな朱色なのですが、乾くとしっとりと落ち着いた色になりました。

できれば二度塗りが理想ですが、柿渋は結構高いし塗る面積も多いので弁柄の塗布は1回であきらめました。

古民家の柱を塗ってみた!

弁柄を古民家の柱に塗ってセルフリノベーション(DIY)

恥ずかしながら、我が家の軒下を支える柱です。新聞紙で垂れを予防して弁柄を縦方向に塗りました。これでちょっとは雨や紫外線から柱を守ることができるでしょう!要するに酸化鉄でコーティングすることにより木材を守るお化粧みたいな役割を果たしています。人間で例えるならUVカットのお化粧という言葉が近いですね。この柱は先ほどの壁よりも古く年数が経っておりますが、一日のほとんどが日陰なので劣化はそれほど進んでおりません。

仕上げにアマニ油を塗る

仕上げにはアマニ油を塗ってみました。アマニ油を塗ったところと塗ってないところでは色合いが変わって塗ったところは反射の加減でベンガラの発色が濃いように見えました。アマニ油は乾性油といって油絵にも使われているオイルです。コスパは悪いので仕上に塗るのは雨に濡れやすい部分だけにしたほうが無難です。柱二本塗っただけでアマニ油を250mlほど使い果たし、千円分入った500ml瓶の半分くらいなくなりました。

予算について

この柿渋とベンガラを使った塗料と、そしてアマニ油による仕上げを含めると、部分的に塗装しただけでも予算は1万円コースと、趣味の出費としてはちょっと高いなぁと思いました。続けて一気に作業をしたかったところですが、途中で柿渋がなくなってしまいましたので、計画も途中でいったん停止することになりました。そこそこ資金に余裕がないと建物一軒丸ごとベンガラを塗りつくすのは困難を感じます。

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