BEAU SOLEIL(ボーソレイユ)スイスの名門寄宿学校
BEAU SOLEIL COllEGE ALPIN INTERNATIONAL(ボー・ソレイユ)
世界の金持ちの子どもたち(王室や経営者など富裕層の子ども)が通う学校がスイスにあります。その寄宿学校の名前はボー・ソレイユ(美しい太陽)。College Alpin Beau Soleil(コレージュ・ボー・ソレイユ)は100年以上の歴史を誇ります。一週間のはじまり(月曜日)は学校長のケビン・フォイル氏の英語とフランス語の朝礼から始まります。学校長のケビン・フォイル氏は生徒たちに礼儀正しくすることが重要であると説きます。「礼儀は法より尊い。礼節を知る人は周囲から歓迎されます」と。生徒の服装はジャケットとネクタイ、ズボンまたはスカートと黒いストッキング。足元は黒と決められています。全校生徒は240人。王室の子どもたちや富豪の子どもたちが通っています。
BEAU SOLEIL COllEGE ALPIN INTERNATIONAL(ボー・ソレイユ)
写真はwikipediaから転載しました
※BS3(プレミアム)で放送された内容から有用な部分について一部メモを取りました。この番組はNHKオンデマンドで視聴できます。
少人数で考えさせる授業
生徒が教室に入る時はスマートフォン(セルフォーン)を先生に預けます。11歳から13歳が学ぶ科学の授業では教科書を使いません。低学年のカリキュラムには五つのテーマがあります。これらのテーマに基づいてあらゆる授業が行われます。
- Adaption(適応力):語学、数学、科学、地歴、芸術、体育
- Discoery(発見):語学、数学、科学、地歴、芸術、体育
- Risk(リスク):語学、数学、科学、地歴、芸術、体育
- Respect(敬意):語学、数学、科学、地歴、芸術、体育
- Traditions(伝統):語学、数学、科学、地歴、芸術、体育
敬意というテーマの科学の授業では自分の体への敬意について考えます。先生が質問を投げかけ子どもたちは自分をいたわる方法について考えます。知識を詰め込むのではなく、自分で考え問題を解決する力を身に着けるためです。子どもたちは健康な食事、8時間寝る事、など自分で考えて答えを見つけていきます。子どもたちはスナック菓子を火であぶり水を温め水の温度変化を調べます。温度変化が大きいほどより多くのエネルギー(カロリー)が含まれているのです。ビスケット1枚で20度以上温度が上がりました。子どもたちはカロリーの違いを確かめることができました。同じ科学の授業では栄養のバランスを考えながら夕食のメニューを作ります。
音楽の授業ではアメリカの名門、ジュリアード音楽院のミュージシャンたちがこの日の授業のために演奏したビデオを見て敬意を払う学習をします。先生はリズムを教え、10人ほどの子どもたちがテンポ(拍子)に合わせて、一つの音だけで拍子に合わせたリズムを考え、続いてメロディーを作ります。先生は「飽きてくるから予測不可能なことを入れるように」助言します。子どもたちは2人に1台の本物のピアノ(グランドピアノなど)又は電子ピアノをあてがわれ、自分のメロディーを奏でセッションを行います。
ランチの時間はビュッフェ形式で毎回違うメニュー(食事内容は高級レストラン級)が用意されます。アレルギーは生徒たちが自分で確認します。生活部門を任されているリスボアさんは生徒たちとコミュニケーションを取りながらメニューを決めます。生徒の中にはイスラム教徒の子どもたちもいて、ラマダンや肉の禁忌に対応し必ず別の選択肢を用意して子供たちが食べられなくなることのないようにしています。
世界各国55カ国から生徒が集まっています。スイス、フランス、メキシコ、中国、ロシア、日本・・・ウクライナ、カザフスタンなど。生徒のジャケットには国旗のアップリケが貼られています。
この学校に入学するには英語と数学のスキルが必須です。そして面接ではこの学校で学びたいという強い熱意が重視されます。
校舎
学校を訪問する時は身分証を預けてバッジを受け取ります。狭い廊下を抜けるとバスケットチームやスキーチームの写真があり、1910カフェという創立記念に由来したオープンカフェがあります。カフェでは友たちとおしゃべりしたりみんなで勉強したりします。スキーユニフォーム、月曜日に着る第一制服、スポーツユニフォーム、火曜日から金曜日に着る第二制服があります。体育館があり、体育の授業で使います。トレーニングジムは毎日17時から19日まで自由に使えます。
演劇のホールでは生徒たちが芝居を演じます。衣装やセット、演技はすべて生徒が自分たちで用意して人前で臆さず自分を表現できるように演劇に力を入れています。この学校では芸術やスポーツにも力を入れています。
生徒の一日
生徒たちは朝の七時に起床し八時十二分から授業が始まります。昼食は十二時三十分から一時三十分までの間です。午後の授業は一時三十分から四時四十五分までです。四時四十五分から五時十五分までの三十分間はフリータイムとなり、五時十五分から六時十五分までの一時間がクラブ活動や自習時間となります。
夕食は六時十五分から七時三十分までの九十分間です。
七時三十分から八時十五分までが自習タイムとなり、八時十五分から二十二時までの一時間四十五分が自由時間となります。自習時間は私語厳禁で部屋のドアは開けておきます。先生が各部屋を見回り生徒が何を勉強しているか確認したり励ましたりします。スイス出身のレオ(17歳)は経済学の自習に取り組みフランス出身のダビッド(18歳)は数学の勉強をして議論の準備をしています。部屋は二人部屋で洗面台が二つあり、シャワー室が1つ、トイレが1つあります。勉強机とベッド、棚は1つずつあります。洗濯物は洗濯物入れに入れて木曜日の朝に回収されて土曜日の朝までに戻ってきます。家にいるときは家政婦がなんでもしてくれた少年も寄宿舎では自分ですることを学びます。男部屋ではけんかすることはしょっちゅうだというレオ君。それに対しダビッド君はイライラは少しずつ出したほうがいいとネガティブな感情の表現を肯定してます。愚痴っぽいダビッド君にルームメイトで明るい性格のレオ君はかなり我慢しているようです。
寮の責任者ジェーン・ホワイトさんは国際的なコミュニティーでは違う環境で生まれ育った人々と共に暮らすことで問題が起きたり争いになった時にどう収めるのかを学ぶための大事な経験であり、悩みながら関係性を築いて生涯の友を得るのだと説明しています。
生徒たちの暮らしは多くのスタッフに支えらえています。制服は週に三回、個人的な服は週に一回洗濯します。衣類にはすべてICチップが付けられています。洗う温度や色を読み取り十種類以上に分類します。染みや汚れがないか一枚一枚確かめます。最後にアイロンがかけられ生徒たちのもとに戻されます。
マダム・サオは二十一年間掃除をして生徒たちの様子を気に掛けています。サオは一人ひとりに声を掛けてあげます。売店の責任者はレジに興味のある生徒にレジを体験させてあげました。
二十二時から七時までは就寝時間です。
放課後、生徒たちがカフェに集まってきました。カフェの売店ではおいしそうなクロワッサンやサンドイッチ、お寿司やデザートなどが売られています。
クラブ活動の種類は四十種類で生徒たちは二つ以上のクラブに参加しなければなりません。ボクシング、ダンス、ヨガ、バンド、チェス、ディベート、ヤングエンタープライズ(会社を興し起業する活動)など。国際的なボランティアやさまざまな活動に参加できます。
十三歳からの授業
十三歳になると、授業のテーマは次のように変わります。リーダーとしての資質を育てるカリキュラムです。
- Challenge(チャレンジ):語学、数学、科学、地歴、芸術、体育
- Justice(正義):語学、数学、科学、地歴、芸術、体育
- Leadership(リーダーシップ):語学、数学、科学、地歴、芸術、体育
- Community(コミュニティー):語学、数学、科学、地歴、芸術、体育
- Identity(アイデンティティ):語学、数学、科学、地歴、芸術、体育
地理ではリーダーシップというテーマをもとに、アフリカのマダガスカルの水問題についてケーススタディをします。水を得るために一時間かける女性。安全とはいえない水を19L頭に抱えて女性は水を運びます。それを一日に三~四回。マダガスカルは貧困を抱えています。先生は女性が持っていたのと同じ19Lの水を用意し生徒に運んでもらいます。生徒たちと同じ年代のある女の子(ララ)は最貧の地域に住んでいます。ララは靴もなくはだしで泥道を水くみに出かけます。ララは次のような詩を詠みました。
私の一日もあなたの一日と同じだったらいいのに
学校に行って勉強して公園で遊ぶの
頭に浮かぶのは蛇口をひねるだけで出てくるきれいな水
歯磨きしてシャワーを浴びるのもいいわ
地理の先生は生徒たちに問いを投げかけます。生徒の一人が自分たちは水を無駄遣いしていると言いました。またある生徒はどんな気持ちか想像(IMAGINE)します。ある生徒はその水はどんな用途に使うのか質問しました。先生はララのお母さんは子どもたちの面倒を見なければならないので水を運ぶことができないと言いました。
地理の先生は貧しい地域の人々についていくつかのカードを示しました。
- 公衆衛生
- 子どもの健康のケア
- 教育
- 栄養
- 疫病の予防
- 食の安全確保
- 妊婦の健康ケア
- 住宅環境
- 女性の社会進出
自分がリーダーならどのキーワードから優先して取り組むか生徒たちは考え三人一組で話し合いカードを優先順に並べます。女生徒のグループは妊婦の健康ケアが一番大事だと答えました。多くの生徒が女性の社会進出は優先度が低いと考えました。先生は女性の社会進出が進まず地位が低いままで職にも就けなければ一番大事だと言った妊婦の健康ケアは改善されるのか?子どもを産む機械として利用され続けるだけではないかと問題を投げかけます。女生徒はまず力を持つ男性とともに解決し・・・わからないと答えました。地理の先生エリオット・グリーン氏は裕福な家庭の子供たちが旅の経験や両親の仕事、授業から学んだことを議論してもらい、将来持つであろう財力と影響力で世界が直面する問題に取り組んでもらいたいと語ります。
生徒たちは年十三カ国を旅して自分の目で世界を知ります。キリマンジャロへの登頂に挑戦することもできます。
課外活動のイアン・レイ氏はリーダーシップは生徒たちの人生において重要で、すべてに影響を与える存在であるリーダーに役に立つスキルを身に着けてもらうと言いました。責任感があり向上心を持っていること、それがリーダーの条件だと言います。学校では世界に広く目を向けるだけでなくそれぞれの国の言葉や文化も大切にしています。
学校では日本語の授業もあります。母国語の授業は必修です。
「ゆくという言葉は時間の経過を表します。熟れる・・・すべてのものがひとつにかえる。だけれども同時に一つのものにすべてが存在しているという考えなの。」
日本語の先生(日本人の女性)は授業で生徒たちに言いました。先生は「海外では人と違うことがとても評価されるのでかえって人と違うことが評価に値します。自分を出すことに不慣れな日本人がしっかり考えて説得力をもって発表すれば自分の意見を述べるならばそれが評価されるという経験を味わってほしいと」言いました。
学校が大切にすること
- 敬意
- 責務
- 大志
- 勤勉
学校には四つの教育理念があり「互いを尊重し周囲の人や環境に敬意をもって自尊心を高く持つことが重要です。二つ目は責務を果たすことです。自身の行動はもちろん成績や結果への責任を負うことが大切です。三つ目は大志です。熱意を持ってベストを尽くす。学校でもそれ以外の場所でも一生懸命努力するよう求めています。努力が足りなければ成果も得られないと理解しています。」と学校長は言いました。
歴史
コレージュ・ボー・ソレイユは1910年に誕生しました。体の弱い貴族の子どもたちが良い環境で学ぶ空気のきれいな場所が必要でした。貴族の信頼が厚かったドゥ・メイヤー家に寄宿学校が託されたのです。二度の大戦でボー・ソレイユは疎開先として注目されました。その後は世界中から生徒が集まってくるようになりました。
ここで三十年以上働いているフランス語教師のフランソワーズ・ベロエイル先生は新しいものが生まれる社会に合わせ学校は変わり続けてきたと言いました。変化に対応することは当然のことで学校が社会の変化を理解し受け入れそこから得た答えを生徒に教えるのだと。
卒業生の一人にルクセンブルク大公国のフェリックス王子がいます。友達はフェリックスが王子だということは卒業するまで知りませんでした。友達の一人はセーターに名前が書かれていたのを見て王子だと気が付いたと言いました。「誰がどんな地位でいるか関係ない」と卒業生の一人は言いました。
卒業生の一人にユージーン・チャップリン(チャールズ・チャップリンの息子)がいます。アメリカを追われたチャップリンはスイスに移り住み、ユージーンはボー・ソレイユに行くよう両親に言われました。ユージーンはとても気が弱かったと当時のことを語りました。父のチャップリンは教育を受けていなかったので教育の大切さを知っていました。「学校に行けるなんて信じられないほど運がいい。すばらしい幸運だ」とチャールズ・チャップリンはユージーンに言いました。チャップリンが住んだ家は四男のユージーンさんが守っています。
卒業後は生徒たちは世界中の学校に進学します。十六歳から国際バカロレアの資格取得に取り組みます。そのために世界中から優秀な教師を集めてきます。生徒二百四十人に対し教師は五十四人。およそ四人の生徒に対し一人が一流の教師です。
一流の教師を集めるために学校は時間と労力を惜しまずリクルーティングしインターネットで面接して模擬授業をしてもらいます。授業の内容や教え方はそれぞれの先生に任されています。
美術のカーラ・メイゼル先生が教えるのは分析することです。作品のモチーフや画材、作者の心情まで細かく分析させます。
「あなたの作品になぜそれが必要なのか。どうしたら主題を表現できるか分析しなさい。いろいろな物を組み合わせて検証して意味を具体的に説明できるようにしなさい。その分析があなた自身の作品にいかされるのです。」
思いつきや根拠のない意見では納得しません。
「なぜ復古調に見えると思うの?この絵の何を見てレトロだと思うの?色がレトロな印象を与えると言うけど何を根拠に言うの?なぜそう思うのか裏付けが必ず必要よ。」
分析の結果は生徒たち自身の作品に反映させるように指導します。
「どんな小さな分析でもすべてが最高傑作を作るためのレシピよ。ひとつの分析に固執しないですべてを並べてみて。あなたの主題を伝えるのにどの要素が必要か創造的に考えて。」
「私がなぜ?と尋ねて生徒が答えます。それで分析が深まります。その答えに生徒が満足しない場合はなぜ?なぜ?なぜ?と質問し続けます。それが芸術を分析するプロセスです。」
学校部門統括 ビクトリア・デルフェデリコさん
「私たちは変わり続ける世界にいます。生徒が大学を卒業するころ現在ある仕事は時代遅れになります。適応力を身に着けた上で多くの選択肢があると知ってほしいのです。一生に仕事はひとつの時代は終わりました。将来生徒はいくつもの仕事に就くでしょう。」
先生たちの仕事は授業だけでなく親元を離れた生徒たちをサポートします。学校では生徒一人ひとりにチューターという特別な先生がつきます。チューターは勉強は進路の相談に乗るだけでなく毎朝顔を合わせて生徒の体調や顔色に気を配ります。先生は生徒が問題に直面した時に励ましたり背中を押してあげたりします。先生は親とまでは言わないまでも責任をもって子どもたちを見守って生徒たちの相談に乗っています。先生は教師としての顔だけでなく、生徒たちが頼るよき相談相手でもあります。
歴史の授業では世界のリーダーの決断について考えます。1962年のキューバ危機について取り上げます。生徒たちは思ったことを自由に言いあいます。生徒の一人がケネディが言ったことは矛盾していると言います。別の一人もケネディは好きじゃないと言いました。別の一人はアメリカだけが正しくほかの国はついていくべきだと考えていると矛盾を指摘しました。そして政治の目的について探ります。授業は中立の立場で行われます。歴史の先生は世界で何が起きているか知ってほしい、歴史が現在に影響を与えていると認識するのが重要だと言いました。
雪が積もりました。生徒たちはスキーの授業に行きました。ボーン・ソレイユではスキーは重要な科目のひとつです。学校の目の前はゲレンデでスキーの授業は秋から冬にかけて半日から一日かけて行われます。生徒たちはスキーを通して雄大な自然の中で強い精神力と瞬時の判断を養うことが目的です。学校の生徒たちは全員がスキーのスキルを習得します。
「恐怖心はありますが考えたらパニックになって失敗します。落ち着いて挑戦しました。」
スキーで宙返りした生徒の一人が言いました。
スキーの授業は学校の創立以来百年続く伝統です。ボー・ソレイユで学んだ生徒ジャン・ダニエルさんは五十年前にオリンピックで銅メダルを取りました。その息子セドリック・デッド・ヴィラーさんもまたボー・ソレイユの卒業生で責任ある仕事(オリンピックの実行委員会)に就いています。
プリフェクト選抜試験
学校には生徒を代表する11人のリーダーがいます。彼らは朝礼で特別な席を与えられプリフェクトと呼ばれます。プリフェクトは最高学年の生徒の中から試験によって選ばれます。その役割は規則の取り締まりや来校者の案内、教師のリクルーティングにまで携わります。プリフェクトは薄いブルーのワイシャツを着用することが許されます。プリフェクトのサイモンは数学の授業に出ました(半分ほどの生徒がラップトップPCを持ってました)。この日は試験に向けて自分の課題に取り組みます。わからないところがあれば先生に質問します。プリフェクトのサイモンは自分の手を止めてクラスメイトにわからないところを教えてあげました。サイモンは説明することは自分にとって役立つことだと言いました。
プリフェクトの選抜は新しく最高学年となる生徒の中から11人が選ばれます。プリフェクトになるためには七か月(九月~三月)にわたるリーダーシップの講義を受けたあと選抜試験に臨みます。成績や普段の振舞いも重視されます。学校長は学校が求める敬意・責務・大志・勤勉を備えていることが重要だと言いました。行動力とリーダーシップ、積極的に取り組み何かを起こすことが重要です。学校を改革したと誇り次に進めるチャンス、その序章がプリフェクトあります。
選抜試験で生徒たちはグループにわかれてさまざまな課題に挑みます。マシュマロと竹串で十分で高いタワーを作る課題。審査のポイントは高いタワーが作れるかではなく生徒ひとりひとりがどんな発言をするかどんな役割を果たすかが見られています。
哲学教師 デルフィン・ウォイチェホフスキーさん
「他人の意見を聞くことができるか、そして決断を下せるかも見ていました。評価したのは考えを深め提案し意見を聞き他人に影響を与えた生徒です。正当性を保ちながら周りに影響を与える。それもリーダーの役割です。」
次は糸を使って紙コップを十分以内に三段に積み上げる課題です。
全員で話しながら課題を進めているグループがありました。一人がリードするのではないこのグループに先生が問いかけます。
「リーダーは誰だ?」
「全員です。」
生徒たちは答えました。リーダーシップを全員が発揮できることが民主的だと生徒たちは考えたのです。そのグループはとても仲がよさそうでした。学校長のケビンは今の時代は命令するだけのリーダーは十分ではなく協力し合う関係が必要でそれを学校で教えようとしていると言いました。得た情報をどう使えばよいかそのプロセスを教えます。
「広い世界に出たときに必要となるクリエイティビティ―や批判的・分析的思考、関係の築き方やコミュニケーションの取り方、そのスキルを教えます。世界がとても速く変化する中、そのスキルは彼らの礎となります。変化する世界に適応するスキル、柔軟に対応するスキルを身に着けてほしいのです。」
三月中旬、年に一度の大切な行事「ナイトスキーレース」が三時間行われます。生徒たちは三時間の耐久レースに参加します。何回スキーでコースを滑ったかその回数を生徒全員が参加して競います。生徒はヘルメットにヘッドライトを装着し、蛍光色の反射ベストを着てスキーに参加します。レースが終わると生徒たちは松明を手に持ち学校に戻ります。
卒業
最高学年の卒業は6月です。生徒たちはビジネスの道に進んだり、平和のために貢献する道を選んで世界で活躍します。
学費
学費はおよそ1,500万円/年です。
視聴感想
これまでの日本の教育はいわば従順で機械のごとく働ける型押しで作られた労働者(人形)を作るために設計されている(創造の反対側)と思いました。「考えるな、創造するな、リーダーになるな。だが金だけは稼いで納めよ。」いわばみざるきかざるいわざるの文化です。間接的な暴力や不正など悪いことは見て見ぬふりをするのが日本の教育です。日本では徹底的に自分を抑えて意見や自由な感情の表現を我慢して服従したかのように偽る能力がどこに行っても高く評価されます。それに対しこのボー・ソレイユは世界でリーダーシップを発揮して、世界をよりよいものにするための創造的な教育に重点が置かれています。決して(戦争好きの)悪人を育てるためではなく、平和のための学校であるといえます。リーダーになるために本を丸暗記する歩く辞書のような知識や人材はいりません。今は語学でも歴史でも数学でもインターネット上に必要な情報は載ってます。人を雇えば知らない部分を補えます。人間にとって重要なことは知識の詳細ではなく問題を解決する能力です。つまり考えてよい答えを見つける能力。善い人生を送る能力です。それは世の中をよく変えることにも繋がっています。この番組を見てるとここにいる子どもたちは悪(戦争や不正、嘘)とは無関係でいられるように思います。労働者(奴隷)のための学校と、リーダーのための学校は教育内容がこれだけ違うのですね!幸せに生きるということは、戦争や争い、嘘と距離を置かねばなりません。この学校では(皆賢いので)せこいことをすればすぐバレるので正しく美しく過ごすことしかできません。(宝塚みたいな理念と正反対のことを生徒がしているような)偽りやごまかしは効かないと思います。わが子を幸せにするにはそういった世界とは無縁の生き方(ビジネスや慈善活動)をすることが可能であると、この学校は示しているように思います。ここに子どもを通わせることはできなくても、私たちはお金がなくても見習うことは可能です。どうか皆さんにもよい影響がありますように。
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